「長編」
君が君でなければ

君が君でなければ18-最終話(優視点)

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  早川優は、寒い冬の夜、普段利用しない商店街を歩いていた。一年近くに渡り自分を苦しめてきた男が殺されたと知り落ち着かない気分だった優は、手芸店に行った帰り道、商店街にある酒処サナエの前でふと立ち止まった。
 縦長の小さな窓から店内の光が漏れていて、カウンター席に座っている一人の男が見えた。遠目に見ても忙しい日々を送っているのがわかる男は、とても整った容姿をしていた。カウンター越しに店の者と話す姿は、疲れていそうなのに人懐っこい印象を与える。
 男性しか好きになれないのに、男性恐怖症になってしまいそうな経験をした。そんな優なのに、店内にいる男にはなぜか興味を惹かれた。
 数秒店内を眺めていると、男が呆れたように笑った。どうやら店の女将が冗談を言って、彼はその冗談をきいて笑ったのだ。
 優の興味を惹くこの男は、一体どんな声で笑うのだろう。男前という表現がしっくりくる容姿の彼は、どんな声で話すのだろう。
 店内には男だけしか客がいない。もし自分もこの店に入れば、この男の声を聞けるだろうか。
 好きだった仕事を不本意な形で辞めて、するつもりのなかった引っ越しをして、金銭的に余裕がない。それでも手芸店に行ってしまって、手持ちの現金も少ない。
 ただこの男の声をききたいからと、普段しない外食をしてどうなるというのだ。そう思うのに、お品書きを見てしまう自分がいた。ドキドキしながら見てみると、お品書きには手ごろな値段の料理ばかりが並んでいて、二、三品ぐらいなら注文できそうだった。
 思い切って、優は暖簾をくぐった。引き戸を開けると、昔のドラマの優しいお母さんといったイメージの女将がとびきりの笑顔で迎えてくれた。勧められるまま、気になった男と一席あけて席に着いた。
 常連客らしき男と優しか客がいないからか、店全体で仲良くやろうといった調子の女将と大将のお陰で、気になる彼と話せてしまった。
 整った容姿には営業マンが似合うなと思っていたのに、飾らない男前な彼は刑事だった。気が強い印象の仕事をしていると聞いて、思わず怯えたような態度をとってしまった。けれど、女将と大将とのやり取りを聞いていると、男の気さくな性格が見えてきた。
 大将にサービス品の刺身を貰ってしまった。有難くそれを食べようとすると、男が優に熱燗を勧めてくれた。まだ瓶ビールを飲み切っていない彼が、優の為に熱燗を注文したのは一目でわかった。彼が気になったから店に入ったのに、さり気なく優しくされて、優はほとんど知らない彼を好きになりそうになった。
 酒に弱いので、せっかくの熱燗はほとんど飲めなかった。それでも嫌な顔一つしない彼は素敵過ぎて、困ってしまった。
 勇気を出してこの店に入ってよかった。満足しながら店を出ると、容貌が整っているだけでなく背も高い男が一緒に帰ろうと手招きしてくれた。
 数日前に殺された男に、自宅まで後をつけられ貞操を奪われるという経験をした優は、話してみたかったとはいえ知らない男に自宅を知られるのが怖かった。けれど、警官である彼はおかしなことをしてこないだろうと、信じてみることにした。
 世間話をしながら歩いていると、男は穏やかな声で優の身を案じていると言った。本当は自宅よりも離れたところで彼と別れようと思っていたが、会ったばかりの自分を案じてくれたことが嬉しくて、自宅の傍まで一緒に歩いた。
 容姿だけでなく性格まで良い彼は、別れの挨拶をすると、商店街の方向に引き返してしまった。自宅を越えたところまで送ってくれたのだとわかって、親切な彼が本気で好きになってしまった。
 翌日、どうしても彼に会いたくて、酒処サナエに行ってしまった。店に入る勇気はなかったけれど、どうにか彼に会えないかと思っていると背後から声をかけられた。彼は、優に気を遣わせないようにと、彼一人では注文できない鍋を食べてみたいから一緒に食べようと誘ってくれた。
 気取らない彼と話せば話すほど、どんどん好きになってしまった。結婚していたという彼は男の自分に興味なんて持たないだろう。理解をしているつもりなのに、彼に好きになってもらいたくて仕方なかった。でも、自分にできることなんて何もない。せめてもと思い、鍋のお礼をしたいと言って、彼を自宅に招いてしまった。
 そこで彼に好きだと言われたときは、心臓が口から飛び出てしまうかと思った。好きになってほしいと思っていたけれど、本当にそうなるなんて、信じられなかった。
 こうして、素敵な恋人ができてしまった。恋愛経験はほとんどないけれど、自分にとって最高の恋人ができたと確信してしまうほど、真面目で優しくて包容力のある恋人と結ばれた。
 一年と少し前に運命的な出会いをした彼の寝顔を眺めながら、優は一つため息をついた。今年四十歳になる恋人の中居和樹は、毎日激務をこなしているはずなのに、健康的で若々しく、そして何より男前だ。
 半年ほど前、男前な恋人は、いつになくそわそわしながら、一冊のパンフレットを見せてきた。
歩いて三分の距離にあった互いのアパートからすぐそばに新しいマンションが建つので、その一戸を買おうと思っていると和樹は言った。そしてその新居で、優と一緒に暮らしたいと、とても緊張した面持ちで同棲を申し込んできたのだ。
 一緒に暮らそうと言われた瞬間、嬉し過ぎて、号泣してしまった。泣き過ぎてしばらく返事をするのを忘れてしまって、和樹を慌てさせてしまった。それくらい、嬉しくて堪らなかった。
 堅い仕事に就いていて、優とは違い親兄弟のいる和樹が、男の恋人と正式に同棲するなんて、相当な覚悟が必要だったはず。それがわかるからこそ、真面目で誠実な恋人にどれほど想われているのかを知って、それが嬉しくて、そして幸せだった。
 十階建てのマンションがまだ三階までしか建っていないころに、和樹は一階部分の一戸を購入した。優は仕事から帰るとき、回り道をしてマンションの工事現場を毎日見に行った。早く完成してほしいと思うじれったい日々は、一緒に暮らし始めた今と同じぐらい、とても幸せな日々だった。
 あと一分。毎朝彼を起こす時間までカウントダウンをしながら、寝ていても整った容貌を眺め続けた。
「和樹さん」
 逞しい胸をとんとんと叩きながら呼びかけると、和樹が目を開けた。目覚めの良い和樹は視界に優の姿を確認すると、朝一番の笑顔を見せた。
「おはよ」
 挨拶をしたと思ったら、和樹はベッドに腰かけている優に抱きついてきた。ぎゅーっと音がしそうなぐらいきつく優に抱きつくのが、彼の日課だ。
 和樹は、かなり甘えん坊だ。よく十年以上も一人暮らしをしていたなと思うほど、人肌が好きな男だ。
 優に抱きつくと元気が出ると言って、和樹は毎日抱きついてくる。そんなことを平気で言ってのける和樹は、仕事場では刑事として事件を追う市民の味方だ。故意でも事故でも、事件が起これば駆けつけて、悪を暴くために自らの身を危険に晒すこともある。そんな仕事をしているのに、和樹はいつも明るくて元気だ。
 冗談が好きな和樹は、気遣いも上手だ。人とのコミュニケーションが得意でない優は他人と距離を置きがちなのに、和樹はすんなりと優の懐に入ってきた。
 和樹は顔に似合わず頻繁にオヤジ臭い冗談を言う。和樹は自身をオジサンだと呼ぶし、自分自身をオジサンというカテゴリーに入れてしまっている。
 確かに、年齢だけを見れば和樹はオジサンなのだろう。だが、年相応の貫禄はあっても随分若い見た目をしているので、和樹をオジサンのカテゴリーに入れようと思う人間は少ないはずだ。けれど、その事実に無自覚な和樹は、優が用意した朝食を目の前に、優の裸エプロン姿が見てみたいなんて冗談を言った。
 目玉焼きとトースト、余った野菜を切っただけのミニサラダ、そして彼の好きなソーセージというシンプルな朝食を、とても有難がって食べる姿は毎日見ても飽きない。夕飯なんて、何を出しても美味い美味いと平らげるから、味音痴なのではと疑ってしまったくらいだ。
 そんな和樹は、味音痴ではない。時々外食に連れて行ってくれるが、料理がおいしかったから覚えていると言って選んでくれる店は確かに料理がおいしい。新しい店を探すときも、季節の食材を使ったメニューがあるかを必ず確認するので、和樹は彼自身が思っている以上にグルメだ。
 そんな和樹が美味しいと言ってくれるから、料理を作るのも楽しくなる。無理をしなくてもいいと言ってくれるけれど、料理を作って食べさせたいのは優のほうだ。
「ご馳走様」
 きっちり両手を合わせて元気よく挨拶をした和樹は、皿を下げてから洗面所に入った。洗顔を終えてスーツに着替えると、和樹はクローゼットのある寝室で優のことを待つ。ダークカラーのスーツと白シャツが和樹のいつものスタイルだが、毎日優をクローゼットの前で待つのには理由がある。
 優が皿洗いを終えて寝室に入ると、シャツのボタンを留めた和樹が笑いかけてきた。
「今日もよろしく」
 そう言った和樹は、うきうきとした様子で立っている。和樹が待っているのは、優がネクタイを選ぶのと、選んだネクタイを優が締めることだ。
 ネクタイを締める優を見下ろす和樹は、とても嬉しそうだ。そんな和樹は優のことを可愛い可愛いと言うが、子供が親に初めてネクタイを締めてもらうような表情を毎日見せる和樹こそ、可愛くて仕方ない。
 一回り年上の恋人を可愛いと呼んでは失礼だと思うので、優は和樹に可愛いと言ったことはない。けれど、それこそいい歳をしてネクタイを締めてもらうだけで大喜びする和樹は、可愛さを炸裂させている。
 身支度が整うと、和樹はすぐに出勤してしまう。できるだけ寝たいからという和樹の気持ちは充分理解できるので、優はぎりぎりまで和樹を起こさない。半同棲状態だったときから、朝食を用意し終えるまでは和樹に寝ていてもらうのが定番になった。
 そんな和樹に、優は弁当を持たせるようにしている。できるだけシンプルで男らしいデザインをと選んだ保温機能付きの弁当袋を渡すと、和樹はまた嬉しそうに笑った。
 笑顔まで男前だ。可愛いけれど、男前だ。サイズが微妙に合っていないスーツを着ていたのに職場の人間にダンディと呼ばせるだけあって、和樹は男前でスタイルも良い。それに気づいていないのは、本人だけ。初めて会った日は飾らない性格の男前だなと思ったけれど、和樹の人柄を知っていくうちに、和樹がただ自分に無頓着で、自分の魅力に無自覚なだけだとわかった。
 そんな無自覚な男前は、自分のことを、女性が避けて通るバツイチ中年の不良物件だと卑下する。確かに、離婚歴はあるより無い方が好ましいだろうし、年齢も若ければ若い程女性が寄ってきやすいのは確かだ。だが、和樹の場合は、離婚後十年以上独り身だったことのほうが不思議なほど、性格も良くて気取らなくて、真面目で誠実で魅力的なのだ。
 よほど恋愛運がないのか、それとも女性の趣味が悪いのかと思ったが、どうやらそれは違っていた。
 和樹はちゃんとモテる男だ。それを実感したのは、付き合ってから初めて訪れたバレンタインの日だった。
 バレンタインの日に帰宅した後、和樹は優の為に買ってきたと言って大量の駄菓子をくれた。気取ったチョコレートでなく最近見かけなくなった懐かしの駄菓子をスーパーの袋一袋分ほど買ってきたのが和樹らしいところだが、その後申し訳なさそうに見慣れない紙袋から取り出したのは、職場の女性職員からもらったといういくつものチョコレートやクッキーだった。
 和樹はかなりの数を貰っていて、その半数以上は配られただけの義理チョコだった。けれど多数の菓子の中には、明らかな本命チョコがいくつも混じっていた。
 手作りだったり、ブランドチョコレートだったり、義理では絶対に渡さないような菓子をなぜか優に渡してきた和樹は、自分は食べないので、優に食べてほしいと言ってきた。男だが恋人である優に本命チョコを見せるのはどうかと思ってしまったが、和樹に悪気がないことはすぐに判明した。
「女の子は大変だよな。俺にまで気を遣って菓子を配ってくれるんだから」
 中身だけでも確認した方がいいと優が勧めたので、本命らしき菓子のラッピングを開けながら、和樹はそんなことを言った。和樹は本気で、本命チョコなど貰っていないと思っていたのだ。そして終いには、
「悪いんだけど、ホワイトデーに返す物を選んでもらえないかな。優はセンスがいいし、若いからこういうのも慣れてるだろ。何か返さなきゃいけないなら、喜んでもらえる方がいいからさ」
 と、本命チョコのお返しを優に買ってきてほしいと頼んできたのだ。
 和樹の無自覚には気付いていた優も、さすがに呆れて絶句してしまった。
 ラッピングを開けていると、電話番号とメールアドレスが書かれたメモのような手紙がついてきたものまであった。さすがに本命だと気付くだろうと思ったら、
「この子、チョコ渡した全員に連絡先教えてんのか? 男だらけの職場で働いてるのに勇気あるなー」
 と、見当違いなことを言って、連絡先を登録しないまま、個人情報が載っているからと律儀に手紙をハンドシュレッダーにかけていた。
 他にも、何度も豪華なチョコレートを貰っているという女性については、
「きっと家族がデパ地下のチョコレート屋で働いてるんだ」
 などと言って、豪華なチョコレートの意味に気付かないままだった。
 あまりにも勘違いが酷いので、むしろ演技なのかとも思った。取り調べや聞き込み捜査ではある程度の演技も必要だろうから、和樹は人並み以上の演技力を身に着けているのかもしれないとまで考えた。けれど、優が作った甘さ控えめなコーヒーフレーバーのクッキーは、大喜びで食べていた。食べながら、本命クッキーの味は格別だと喜ぶ姿を見て、やはり和樹は本命チョコを貰っていたことに気付いていなかったのだと痛感した。
 底抜けに無自覚な男前である和樹は、元はと言えばノーマルな性癖の持ち主だ。そんな和樹が女性たちに狙われているのだと気付いて、落ち着かなくなったのは優のほうだった。
 己の魅力に無自覚であるからこそ、飾らない男前として和樹が女性から好意を持たれているのは考えなくてもわかる。そんな和樹を狙う女性たちを遠ざけたい優は、ある作戦を思いついた。
 それは、和樹に弁当を持たせることだった。
 和樹が一人暮らしの間は、絶対に持って行くことのなかった、手料理の詰まった弁当。ファミレスの昼食やコンビニ弁当で構わないと言う和樹に対し、付き合って早々半同棲状態にあった優は、少し強引に弁当を持って行くように勧めた。
 恋人がいることを和樹が公言していないのは容易に想像ができた。そんな和樹を狙う女性たちの存在を知った優は、何人いるかわからない恋敵を無言で牽制しようとしたのだ。
 元から自分の弁当はほぼ毎日作っていたので、手間は一緒だと和樹には言った。だが、明らかに恋人が作っていそうな弁当を和樹の為に詰めるのは、いつもの二倍ほどの手間がかかる。それでも優は、初めて本気で恋をした、絶対に離したくない恋人を恋敵から遠ざけたかった。
 これほど自分が貪欲だなんて、和樹と付き合い始めるまで知らなかった。和樹と出会った当初なんて、和樹とセフレ以上恋人未満になれればそれで満足だと思っていたぐらいだ。
 弁当作戦が功を奏しているのかは、今のところわからない。もうすぐやって来るバレンタインでその成果が見られると思うと少しだけ面白い気分になってしまうのは、和樹には一生言えないかもしれない。
 和樹の無自覚は、男としての魅力や恋愛ごとに限ったことではない。和樹はどうやら、何かにつけて自分を過少評価してしまう癖があるのだ。
 先日、和樹はずっとさぼっていたという昇任試験を受けてきた。大した準備もしていない自分はきっと受からないと言いつつも試験を受けた和樹は、倍率の高い試験に一発合格してきた。まぐれだと本人は言うが、そんなことはないはずだ。多少の運はあったかもしれないけれど、事前にした勉強や日々の努力の結果であるのは明白なのに、本人はただ運が味方していたのだという。
 警部補に昇進した和樹は、県警本部から他の所轄に移動となった。そこではある課の課長になった。今までの成績と人望がなければあり得ない出世をしたくせに、本人は人事部の気まぐれだと言って聞かない。どこまでも己の魅力と実力に無自覚な和樹は、出世をしても偉そうな態度はとらず、むしろ、部下に助けられてなんとかやっていると低姿勢だ。
 そんな恋人が好きで、愛しくて堪らない。だから毎日作る弁当には気合いが入るし、疲れて帰って来る和樹が満足してくれる夕飯を作り、一緒に寝るベッドは清潔に保ちたいと思う。
 何の取柄もない自分だから、できることをして恋人にもっと好かれる努力をしたい。可愛い可愛いと言ってくれるけど、その言葉に甘えるだけではなくて、帰る場所は優でなければならないと思ってもらえるような恋人でいたい。
「できるだけ急いで帰って来るから」
 玄関扉を開ける前、優を抱きしめながらそう言って、和樹は優に何度も何度もキスをする。毎日このやり取りをしたがる和樹が十年以上独り身だったことは、本当に信じ難い。
「安全運転で帰ってきてくださいね。ちょっと、んっ、もう、遅刻しますよ」
 優の顔中にキスをして、和樹は名残惜しそうに優から離れた。
「残業ばっかでごめんな。寂しくなったらいつでもメールしてくれよ」
 私用メールを返す暇なんてほとんどないくせに、いじらしいことを言った和樹はやっと玄関扉を開けた。
「いってきまーす」
 弁当袋を提げた和樹は、元気よく挨拶をして、気取らないけれどセンスの良い愛車に乗って、次々と起こる事件に立ち向かうため、仕事に出かけて行った。
 そして、優が仕事に出かけるころ、和樹はメールを送ってくるのだ。無事に仕事場に着いたと、毎日欠かさず報告をしてくる。寂しければメールをしてくれと言うのは和樹なのに、最初にメールを送ってくるのは和樹だ。さっき別れたばかりなのにもう寂しがってくれているのだと思うと、そんな可愛い恋人にハートマークだらけのメールを返してやろうかと思えてくる。
 堅い仕事をしている彼に、そんなメールは送らない。代わりに、思っている通り、無理せず頑張ってとだけ送った。
 優が写った写真付きメールが欲しいと返事がきた。ほぼ毎日こんなメールを送ってくる和樹が、本当に可愛くて愛しくて仕方がない。
 先日迎えた誕生日に和樹が買ってくれたスニーカーを履いた優は、新しい靴のお陰で徒歩での通勤が楽しいと短いメッセージを添えて、足元だけを写した写真をメールで送った。
 真新しい靴を履いて仕事場へと向かう優の足取りは軽い。生活のためだけに働いていたころは違って、恋人に送るプレゼントを買うための貯金ができる今は、仕事に感じる遣り甲斐が大いに増した。
 明日の弁当の中身を考えながら、優はちらりと足元を見た。そして、素敵な恋人と出会い、愛しい恋人と一緒に暮らす幸福を、今一度噛み締めるのだった。



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